
フラット35のメリットとデメリットは何?利用時の注意点も紹介
住宅ローン選びで多くの方が目にする「フラット35」。低金利の時代にあっても、なぜこのローンが注目されているのでしょうか。「フラット35」には長期にわたり返済額が一定で安心できる点や、借入条件の幅広さなど魅力的な特徴がある一方、知っておくべき注意点も存在します。本記事では、「フラット35」のメリットとデメリットを分かりやすく解説し、選び方のポイントまで詳しくご紹介します。住宅購入で失敗しないための知識を、ぜひお役立てください。
フラット35とは何か、基本的な特徴
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、最長35年間の全期間固定金利型住宅ローンです。借入時点の金利が返済終了まで継続されるため、返済額が変動せず、長期的な家計の安定に寄与します。
融資額は100万円以上8,000万円以下で、建設費または購入価格の範囲内となります。融資率が90%を超えると適用金利が上昇する仕組みです。
返済期間は最長35年で、申込時の年齢や完済時の年齢制限(完済時80歳未満)にも留意が必要です。一部の年齢層では借入期間の上限が短くなる場合があります。
保証人や保証料は不要で、借り主への負担を軽減しています。また、団体信用生命保険(団信)は任意加入であり、加入しない場合は金利が若干低くなる場合があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 金利タイプ | 全期間固定金利 |
| 融資額 | 100万円以上8,000万円以下(建設・購入価格以内) |
| 保証人・保証料 | 不要 |
フラット35の主なメリット
フラット35には、住宅購入を検討している皆さまにとって心強い特徴がいくつもございます。以下に代表的なメリットをわかりやすく整理してご紹介いたします。
| メリット | 内容の概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 返済額の安定 | 借入れから完済まで金利が変わらず、毎月の返済額が一定で家計の計画が立てやすい | 将来の金利上昇リスクから解放されます |
| 審査の柔軟さ | 自営業・フリーランスの方や勤続年数が短くても、申込対象となることが多い | 確定申告書を使った評価で比較的通りやすい仕組みです |
| 費用面の優位性 | 保証料・保証人が不要、繰上返済の手数料も無料 | コストの軽減が期待できます |
まず、返済額が借入時点で確定する「全期間固定金利」であるため、金利が上昇しても毎月の返済額に影響が出ません。長期にわたる家計の安定を希望される方には大きな安心材料です 。
また、民間の住宅ローンに比べて審査基準が明確で、自営業やフリーランス、転職間もない方、勤続年数が短い方も、比較的申し込みやすい点が特徴です 。特に、確定申告の直近1期分の所得を中心に審査される制度は、自営業の方にとっては大きな強みです 。
さらに、保証料や保証人が不要であることに加え、繰上返済の際の手数料も無料となっており、コスト面でのメリットが大きい点も見逃せません 。
以上のように、フラット35は返済計画の安定性、審査の柔軟性、費用面での優位性という三つの側面で、幅広い住宅購入希望者の皆さまにお勧めできる住宅ローンです。
フラット35の主なデメリット
フラット35には多くの魅力がありますが、その一方で注意したいポイントも存在します。ここでは代表的なデメリットを3つの観点から整理してご紹介いたします。
| デメリット | 内容の詳細 | 対策や留意点 |
|---|---|---|
| ① 融資率が高いと金利が上がる | 融資額が物件価格に対して9割を超えると、金利が上乗せされる傾向があります。例えば9割以下では年1.820%、9割超では年1.930%というように、長期間の返済では負担が大きくなる場合があります。 | 可能であれば1割以上の頭金を準備し、返済総額を抑える工夫をおすすめします。 |
| ② 物件検査・適合証明書の取得が必要 | 利用には、住宅金融支援機構の定める技術基準への適合を証明する「適合証明書」が必要です。設計検査・中間現場検査・竣工現場検査などがあり、複数回の検査費用が発生します(検査費用は物件や検査機関により異なります)。 | 事前に検査機関に費用や手順を確認し、準備を万全にすることが大切です。 |
| ③ 適合証明書取得に時間と費用がかかる | 適合証明書取得までにはおおよそ2週間を要することが多く、しかも不合格でも検査手数料は発生します。また、適合証明書には有効期限があり、新築は竣工から2年以内、中古一戸建ては検査日から1年などの制限があります。 | スケジュールに余裕を持って申請し、検査に漏れのないよう計画的に進めましょう。 |
以上のように、フラット35には金利負担の増加や手続き・費用・時間に関する注意点があります。ただし、こうしたポイントを踏まえた資金計画や準備を行うことで、より安定した住宅ローン選びが可能となります。
④ フラット35の選び方と利用のポイント
フラット35を選ぶ際には、ご自身の返済計画やライフプランに合わせてメリット・デメリットをしっかり比較することが大切です。まず、返済期間中の返済額の安定性や資金計画の見通しがつきやすい点は大きな魅力ですが、金利や融資条件も併せて確認しましょう。
特に、金利優遇制度を活用することが賢い選び方となります。「フラット35S」や「子育てプラス」「地域連携型」「地方移住支援型」など、多様な制度が用意されています。家族状況や住宅所在地、住宅の性能などに応じて適用条件が異なりますので、まずはそれぞれの制度内容を把握しておくことが重要です。
また、申し込み前には最新の金利水準や適用条件を必ず確認してください。2025年10月時点の代表的な金利は、融資率9割以下で借入期間21年以上(フラット35)の場合、約1.89%であることが一般的です。融資率が9割を超えると金利が上がる点も留意が必要です。
| 比較項目 | 検討ポイント | 具体的内容 |
|---|---|---|
| 金利優遇制度 | 自分に合った制度の選定 | 子育て世帯向け引き下げ、地域活性化型、移住支援型など |
| 金利水準 | 最新金利の確認 | 2025年10月:融資率9割以下で約1.89%(フラット35) |
| 申し込み前準備 | 必要書類や申請条件の把握 | 自治体や金融機関が定める要件の確認と必要書類の準備 |
制度の具体例として、「地域連携型」は地方公共団体の補助金とセットで借入金利が一定期間引き下げられる仕組みです。例えば地域活性化型の場合は、当初5年間金利が年0.25%引き下げられる制度があり、実際に総返済額が数十万円減るケースもあります。同様に、「地方移住支援型」では、移住支援金の交付とセットで当初5年間の金利が年0.6%ほど引き下げられることもあります。
これらの制度は、利用するには予算枠や申込み期限の制約があるため、定期的に最新情報を確認することと、自治体や取扱金融機関に直接問い合わせることが欠かせません。そして、ご自身に最適な組み合わせを選ぶためには、ライフプランに照らし合わせて判断されることをおすすめいたします。
まとめ
フラット三十五は、返済期間を通じて金利が変わらず将来の支払いが安定する住宅ローンです。審査基準が柔軟であるため、多様な方が利用できますが、初期費用や金利が高めになる点には注意が必要です。そのため、自分にとってどのような住宅ローンが最適なのか、家計や今後のライフスタイルも考慮しながらしっかり比較して選ぶことが大切です。迷った場合は、経験豊かな私たちにぜひご相談ください。安心して理想の住まい探しを進めていただきたいと思います。